「PECS(ペクス)」の概要

 「PECS(ペクス)」とは、”Picture Exchange Communication System”の略で、「1985年にアメリカのデラウェア州にて開発された、絵カードを用いたユニークな代替/拡大コミュニケーション方法」で、自閉症や、その他さまざまなコミュニケーション障害のある子どもや成人が、自発的なコミュニケーションを身につけるための学習方法としてつくられました。


PECSの構成

 PECSは、6段階(フェイズ)の指導過程で構成されています。
 まず、要求を充足してくれる先生と欲しいアイテムの絵カードを交換することを対象者に教え始めます。、トレーニング手順は、行動分析学者のB.F. スキナーの業績に基づき、ごほうび(好子)のシステムや手助け(プロンプト)を用いて指導を行います。そのような指導を通して絵カードを手渡して物を要求することやシンボルを弁別すること、シンボルを組み合わせて簡単な文を作ることを教えていきます。最も進んだ段階の指導では、コメントや質問に応答することも教えます。

【PECSの概略】

フェイズⅠ
とても欲しいアイテムに対して1枚の絵カードを交換することからスタートし、コミュニケーションを自発することを生徒に教えます。
フェイズⅡ
絵カードを自分で探しに行ったり、相手のところまで絵カードを持っていくといったことを通して、コミュニケーションの相手に持続的に働きかけることを教えます。
フェイズⅢ
絵カードを弁別し、欲しいアイテムと一致した絵カードを選ぶように教えます。
フェイズⅣ
「_____ください」という文を構成し、文章で要求することを教えます。
フェイズⅤ
「何がほしいの?」という先生の質問に応答することを教えます。
フェイズⅥ
質問に答える形で、周囲の物事について自発的にコメントすることを教えます。
語彙を広げる
要求の範囲内で色、形、大きさのような属性語の使用を教えます。



PECSの指導をより効果的にする

ピラミッド教育アプローチ

 ピラミッド教育アプローチとは、自閉症や関連する発達障碍を持つ子どや、成人の方への効果的な指導方法です。近年注目されている応用行動分析(ABA)に基づいて作られており、このアプローチを使うことによって、PECSの指導を効果的にすることができます。また、PECS以外においても子どもや成人の方の様々な指導に使うことができ、「指導内容」と「指導方法」という大きく2つの要素で構成されています。

指導内容
何を教えるかということや指導前の計画といった事柄に関係したのものであり、指導でのゴールや教える内容、強力な好子(ごほうび)システム、状況にそぐわない行動への対処などに焦点を当てています。
指導方法
どうやって教えるかということを扱っており、ある行動を他の条件でも起こさせること、レッスンの種類、指導の方法、エラーが起こったときの修正方法などから構成されています。また、これらの要素がうまく機能し、効果的な指導ができているかを確認するために、データ収集(指導の記録と見直し)が大切になります。


「PECS(ペクス)」のメリット・デメリット

 絵カードを渡すことから始めるため、発声ができない子どもにも教えることが可能です。
 また、二語文,三語文のような文構造を教えていくため、正しい言葉の理解が期待できます。言葉の代替として絵カードを用いることで、視覚的に情報を伝えることが可能です。

 但し、絵カードのみでのコミュニケーションでは、言葉や発声が減ってしまう可能性も指摘されています。